建設産業において、技能労働者の高齢化や若年入職者が減少し、このままでは、技能継承がなされずに将来の建設産業自体の存続が危惧される状況を踏まえ、国土交通省は官民を挙げて社会保険未加入対策を総合的に進め、人材の確保と健全な競争環境の構築を進めています。技能労働者が不足している状況を反映するとともに社会保険への加入の徹底を図る観点から、公共工事設計労務単価についても3年続けての上昇となるなど技能労働者への適切な賃金水準の確保のため社会保険未加入対策が取り組まれています。
建設業許可業者に対する社会保険の加入指導
建設業許可業者に対する社会保険の加入指導が前倒しで行われる事となり、2016年 1月以降に更新期限となる未加入業者に対し、2015年秋に事前加入指導通知が送付されていて、社会保険未加入事業所は更新期限によって、年金事務所へ通報されます。通報後もそのまま未加入を続け、年金事務所の調査により悪質とされた場合2年分の保険料を強制的に徴収となります。
社会保険加入促進要領
[社会保険未加入企業の排除に関する周知]
・平成27年度以降、社会保険への適正な加入をしていない下請企業と契約を締結しな いこと
・平成28年度以降、社会保険への適正な加入をしていない二次以下の下請企業と契約を締結しないこと
[工事現場からの社会保険未加入企業の排除]
・元請企業は、平成27年度以降、元下契約に際し、社会保険への適正な加入をしていない下請企業と契約を締結しない事によって、工事現場から社会保険未加入の一次下請け企業を排除する
・平成28年度以降、工事現場から社会保険未加入の全ての下請企業を排除する
[適正な法定福利費の内訳明示の徹底]
・元請企業は、元下契約に際し、一次下請企業に対して、一次下請負人は、標準見積書等を活用し法定福利費を内訳明示した見積書を作成し元請負人に提出することを見積条件化し、法定福利費の内訳明示を徹底させる
・一次下請企業に対して、再下請負契約に際し、二次以下の下請企業に標準見積書等を提出させることによって、法定福利費の内訳明示を徹底するよう指導
[適正な法定福利費の確保]
・元請企業は、一次下請企業が提出した見積書を受領し、法定福利費を必要経費として適正に確保した元下契約を締結する
・一次下請企業に対して、二次以下の下請企業が法定福利費を必要経費として適正に確保した再下請負契約を締結するよう指導する
社会保険加入促進への取り組み強化に向けた社会保険未加入対策推進協議会
法定福利費を内訳明示した見積書の活用による法定福利費の確保に向けた関係者の更なる取組の強化に向けての申し合わせ
1.元請企業は法定福利費を内訳明示した見積書の提出を下請企業に対する見積条件に明示する
2.下請企業は注文者に対して法定福利費を内訳明示した見積書を提出する
3.再下請負人に対しては、法定福利費を内訳明示した見積書の提出を促しそれを尊重する
社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン
「元請企業の役割と責任」
法定福利費の適正な確保のため
・元請企業は法定福利費を内訳明示した見積書を下請け企業に対する見積もり条件に明示し、提出された見積書を尊重する。
・元請負人が、法定福利費相当額を一方的に削減したり、労務費そのものや他の費用で減額調整を行うなど、実質的には法定福利費相当額を賄うことができない金額で建設工事の請負契約を締結し結果、通常必要と認められる原価に満たない金額となる場合には、建設業法第19条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがあり厳に慎む。
「下請企業の役割と責任」
・必要な法定福利費を確保するため、自ら負担しなければならない法定福利費を適正に見積り、法定福利費を内訳明示した見積書を注文者に提出します
・再下請負人の法定福利費の適正な確保にむけて、再下請負させた場合は再下請負人の法定福利費を確保するように努めます
・元請から一人親方労災に加入するように言われている
・健康保険・雇用保険・厚生年金の加入について
・市区町村国保に加入しているが保険料が高い
・従業員で健康保険・雇用保険・厚生年金をかけなければならない
・年金事務所等から指導を受けているが、どうしたらいいかわからない
社会保険の加入や標準見積書の活用、法定福利費を内訳明示した見積書についてお困りの方はご相談下さい