形式的には一人親方でも、実態として労働者である場合は、 労働者として労災保険の適用を行う必要があります。
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一人親方との契約が「雇用契約」ではなくても、働き方が労働者と同様と判断された場合、その方は労働者として取り扱われます
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したがって事業者が、労災保険の加入手続きを行う必要があります。(※)労働者かどうかの判断についてご不明な場合は、お近くの労働基準監督署にご相談ください。
~適切な労災保険の適用にご協力ください~
労災保険は、労働者の保護を図るための制度であり、適切な保険の加入が必要です。形式上は「請負」や「委任」の契約形態となっていても、実態として労働者と同様の働き方をする場合には、一人親方とは扱われません。
その場合には、個人で労災保険の特別加入をするのではなく、直接発注を受けた事業者が使用する労働者として、事業主が労災保険の加入手続きを行う必要があります。
適切に労災保険料が納付さえrていない場合には、事業主に、追徴金や給付された費用の徴収を行う可能性があります!
一人親方の労働者性が認められる具体例
大工募集の広告を見て面接を受け、大工としてA社と「請負契約」を結んだXさんの働き方は以下のようなものでした。
① A社との請負期間中に他社の仕事をしたことはありませんでした。 ② A社の現場では大工職人としての仕事のほか、ブロック工事など他の仕事にも従事していま した ③ 勤務時間の指定はありませんでしたが、朝7:30に事務所で仕事の指示を受け、事実上 17:30まで拘束され、それ以降の作業には手当が支給されました。 ④ 現場監督からの報告・指示によって、A社から指揮監督を受けていました。 ⑤ 大工道具はXさん自身の所有物でしたが、必要な資材等の調達はA社が負担していました。
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このケースでは、XさんとA社の間には実質的な使用従属関係があったと認められ、XさんとA社の間の契約は「労働契約」であると認定されました。この場合、Xさんは労働者として、A社の労災保険の適用を受けることになります。
適切に労災保険に加入していないと
事業主への保険料の遡及・追徴金の徴収
事業主が労災保険料等の納付を怠っていた場合には、最大2年間(3年度分)をさかのぼって保険料の徴収を行い、併せて保険料の10%を追徴金として徴収します。
給付された費用の徴収
事業主が「故意」または「重大な過失」により労災保険の加入手続きを行わないときは、療養を開始した日(即死の場合は事故発生日)の翌日から3年以内に給付された労災給付の、全部または一部を事業主から徴収します。 ※療養補償給付および介護補償給付は除きます。
労災保険の加入手続きを行わない期間中に、業務災害や通勤災害が発生した場合 1:行政機関から支合などを受けたにもかかわらず、労災保険の加入手続きを行わない場合 ⇒事業主が「故意」に手続きを行わないものと認定し、当該災害に関して支給された保険給付額の100%を徴収します。 2:1には該当しないもの 労災保険の適用事業となった時※から1年を経過してなお手続きを行わない場合 ⇒事業主が「重大な過失」により手続きを行わないものと認定し、当該災害に関して支給された保険給付額の40%を徴収します。 ※労災保険の適用事業となった時とは、労働者を1人でも雇い始めたときを指します。
労災保険で受けられる主な給付一覧 療養補償給付―無料で治療が受けられます。 休業(補償)給付―仕事に行けない日は給料の約8割をお支払いします。 障害(補償)給付ー障害が残った場合、年金または一時金をお支払いします。 介護(補償)給付ー介護を受けている場合、その費用をお支払します。 遺族(補償)給付ー亡くなられた場合、遺族の方に年金または一時金をお支払いします
「労災保険」は仕事上や通勤によるケガや病気に対して、必要な保険給付を行う制度です。